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コウノトリの生息を支える市民交流会を開催しました。

10月29日(金曜日)コウノトリの生息を支える市民交流会を下記のプログラムのとおり開催しました。

全国から72名の皆さんが参加してくださいました。

14:00 開 会  ごあいさつ     日本コウノトリの会  代表 佐竹 節夫

全国各地からお集まりいただき、ありがとうございます。

 平素、それぞれの地で、地域に密着したコウノトリ保護の活動をおこなわ れていることに、心から敬意を表したいと思います。

この「コウノトリの生息を支える市民交流会」は、今回で6回目を数えるこ ととなりました。今年の開催は、ついこの前まで新型コロナウイルスの脅威 が収まらず、開催自体が不透明でしたし、間際になって衆議院の解散があっ たりでやきもきさせられましたが、こうして開催できましたことをみんなで 喜び合いたいと思います。


 毎回申し上げているように、コウノトリ野生復帰の状況は日々大きく変化 しています。個体数は約280羽となりました。日本の歴史上最大数でしょう。 しかも、昨年、今年と連続して50羽以上のヒナが巣立ちしている中で飼育下 個体の放鳥も継続されていますので、このままいくと一挙に激増しそうです。 飛翔範囲も、コウノトリの持つ強い飛翔力によって北海道から宮古島まで、 さらに韓国、中国、台湾とその範囲を広げつつあります。結果、2021年の 営巣個所は28巣となりました。10年前の状況を思えばまさに目まぐるしい 進展です。しかし同時に、数の増加に比例して様々な課題も噴出してくるこ とを覚悟しなければなりません。


 では、コウノトリの飛躍に際して、私たち市民はどのようなドラマをつ くってきたでしょうか。コウノトリの保護増殖~野生復帰の取り組みは、 ずっと行政主導でした。そこで、市民も主体的に取り組んでいくために立ち 上がったのが2007年発足の「コウノトリ湿地ネット」、全国バージョンに なったのが2016年からの「日本コウノトリの会」です。そして2018年、 大きな武器を手に入れたのが「コウノトリ市民科学」であり、地域づくりの シンボル化として着実に成果を上げつつあるのが2016年からの人工巣塔の 設置活動です。

 これらのこれらの活動には(市民であるがゆえに)常に成功と失敗が混在しており、 多くの笑顔と涙がありました。これからもそうでしょう。しかし、確実に取 り組みの質と量は変わりつつあるはずです。日本各地、韓国、中国と仲間が 増えていくと、視点も変わっていきます。充実感も大きくなります。そして、 それぞれの地域の文化の中でコウノトリとの共生の意味あいが深くなってい くでしょう。


 本日の交流会では、それぞれの発表者から大いに学び、互いに議論し交流 して、また明日からのコウノトリ野生復帰活動への鋭気を養っていきましょ う。


関貫 久仁郎豊岡市長より歓迎の挨拶をいただきました。

14:20 基調講演 「生態系スチュワードシップとコウノトリ」

          鷲谷 いづみ (東京大学 名誉教授)

14:50 報告と質問・議論 「日本でのコウノトリ野生復帰の取り組み状況と課題」

           永瀬 倖大(日本コウノトリの会 事務局)

「コウノトリ市民科学におけるデータの評価・分析」

          安川 雅紀(東京大学地球観測データ統融合連携研究機構)


「最近の中国におけるコウノトリ保護の状況」

          蘇 雲山 (環境文化創造研究所 主席研究員)

15:30 ~休憩~

15:40 報告と質問・議論

   「韓国のコウノトリの様子と市民による保護活動」

※オンライン 徐 東進(コウノトリ生態農業連合会営農組合法人 会長)

16:00 各地からの報告 1)「渡良瀬遊水地の繁殖状況と これからの展望について」

               栃木県小山市 浅野 正富 (小山市 市長)

2)「河北潟干拓地 コウノトリ飛来」

               石川県河北潟 河上 孝光(河北潟干拓土地改良区 事務局長)


            3)「コウノトリと人が共生できる豊かな自然環境を目指して」

              福井県小浜市 下野 津久美(国富コウの会)

4)「コウノトリのとりくみ」

               京都府南丹市 三觜 昭(室橋地区 コウノトリ育む会 代表)



宣言文を濱本会員より読ませていただき、皆さんの拍手により賛同していただきました。

  宣 言

 

 各地でコウノトリの野生復帰を市民の立場で取り組んでいる私たちは、本日、豊岡市において「第6回コウノトリの生息を支える市民交流会」に集い、大いに学びあい、交流して、コウノトリ野生復帰にさらにチャレンジしていくことを確認し合いました。


 コウノトリ野生復帰は地域の環境基盤を改善・再生することが求められるものであり、当初から言われていたように100年以上の長いスパンを要する取り組みです。しかし、コウノトリの数がこの16年間で300羽近くになったというだけで、「もう成功した」との声が聞こえてきます。元の「経済最優先社会」に戻るべきだと。研究者まで絶滅危惧ランクを緩めるべきと言い出す始末です。野生復帰・環境改善の緒に就いたばかりにもかかわらず、少し手を休めるとたちまち揺り戻しの大合唱となりかねません。まさに、私たちコウノトリを愛する市民の揺るぎなき姿勢が、コウノトリを絶滅に追いやった時代への逆行を食い止める力です。


 今回、新たに5つの地域から取り組み状況の報告を受けました。関東で初の繁殖となった小山市、干拓地での農業のシンボル化を目指される河北潟、国内最後の営巣地に再び繁殖した小浜市、ふるさとづくりの核として営巣を目指される南丹市、そしてコウノトリと共生する農業を展開されている韓国イエサン郡です。そこでは全て、長い歴史の中で培われてきた地域特有の文化が市民の誇りとなっており、野生復帰への様々な困難にあっても強靭な精神で具体的な成果を勝ち取られていることを改めて確認し合いました。また今回は、初めて中国で起きているコウノトリ保護の進展も学び、東アジアという視点に一歩踏み込んだ気がしています。


 その上で、DIAS地球観測データを統合解析する最強、最高レベルのシステムによる「コウノトリ市民科学」という武器を得たことは、この上ない心強いものです。

基調講演での「人間も生態系の一部」との言葉は、今日の逆行の風潮を諫めるだけでなく、自然との相互信頼がコウノトリとの関係も深化させてくれる希望の言葉として受け止めました。


 私たちは、本日の市民交流会を契機として、ますます日本各地、韓国の仲間とのきずなを深め合い、コウノトリの生息を支える農業やビオトープづくり、人工巣塔の設置、子どもたちへの環境教育等、将来を見据えた活動を一つ一つ実践していきます。そして、小さな成功事例を積み上げていきます。やがてその取り組みが、コウノトリと一緒に「日本・東アジア」を行き交うことを信じて。

 以上、宣言します。

 

                     2021年10月29日

                      第6回コウノトリの生息を支える市民交流会参加者一同


夕食後の交流会では、参加者お一人お一人にお話しいただきました。

皆さん、地域に飛来したコウノトリを、あたたかな眼差しで見守っておられ

詳細な報告をお聞きすることができました。

終了時間が大幅に遅れてしまい、申し訳なかったです。


基調講演をしてくださった鷲谷いづみ先生、発表者の皆さん、参加してくださった皆様

ありがとうございました。


※おやつには、かけるくんが過ごしている有田川町の「みかん」(和歌山県で品種登録された由良早生)

 をお配りしました。

※夕食の黙食時間には、宮古島で過ごす3羽のコウノトリの動画を見ていただきました。(長浜さん提供)



会員の方には、後日資料を送らせていただきます。



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